数学1 数と式1 整式とは

はじめに

本シリーズは、生徒役のシグマと教師役のオメガの2人の会話で学ぶ高校数学です。

皆さんも、シグマと一緒に高校数学を学んでみませんか?

整式とは

整式

オメガ「今日は、整式とは何かについて学ぼう」

シグマ「どんどんぱふぱふ」

オメガ「早速いくつかの用語を導入するね」

  • 単項式
    数や文字を掛け合わせることでできる式のこと。
    項が一つだから単項式。
    \(3x^2\) など。
  • 多項式
    単項式の和として表される式のこと。
    項が二つ以上だから多項式。
    \(3x^2-x+5\) など。
  • 整式
    単項式と多項式を合わせて整式という。

シグマ「ふーん。覚えなきゃいけないの?」

オメガ「誤解なく人と会話するためには、共通の言葉が必要だからね」

シグマ「なるほど」

オメガ「用語と仲良くなるためには、自分でも具体例を考えてみるといいよ」

シグマ「具体例……」

オメガ「いい感じの具体例をお願いできる?」

シグマは具体例を考えた。

  • 単項式の例: \(2a,-3x^2y,1\)
  • 多項式の例: \(2a-3x^2y+1\)
  • 整式 の例: \(2a,-3x^2y,1,2a-3x^2y+1\)

オメガ「いい感じだね。ちなみに、整式でない数式の例はあげられる?」

シグマ「整式ではない数式? うーん……」

オメガ「例えば、\(\displaystyle\frac{x+1}{x-2}\) などだね」

シグマ「式が分数の形をしてる!」

オメガ「そうそう。これは分数式と呼ばれる式だよ」

単項式

オメガ「では、単項式について掘り下げていくね」

  • 係数
    項の数の部分のこと。
  • 次数
    項に掛け合わせている文字の個数のこと。

オメガ「単項式 \(3x^2\) を考えよう。この単項式は \(x\) について、係数が3で次数が2だよ」

\(3x^2 = 3 × x × x\)

シグマ「数の部分は3だから係数は3、文字が2個掛けられているから次数は2ってこと?」

オメガ「そうだね」

シグマ「簡単簡単!」

オメガ「けど、注意しなければいけないこともあるよ。それはね……。今、文字として考えていない文字のことは数として扱わなければならないということだよ」

シグマ「???」

オメガ「具体例で考えてみよう。単項式 \(-2a^2b\) について。この単項式は \(a\) について見たとき、係数と次数は何かな?」

\(-2a^2b = (-2) × a × a × b\)

シグマ「数の部分は-2だから係数は-2。文字が3個掛けられているから次数は3」

オメガ「係数も次数も間違ってるよ」

シグマ「ぐぬぬ」

オメガ「私は、この単項式は \(a\) について見たとき、係数と次数が何かを聞いたよね」

シグマ「うん」

オメガ「今、文字として考えていない文字のことは数として扱わなければならない。つまり、\(a\)は文字扱いだけど……」

シグマ「\(b\)は数として扱わないといけないのか!」

オメガ「そうそう」

\(-2a^2b = (-2) × a × a × b\)

シグマ「\(b\) は数として考えると……、数の部分は \(-2b\) だから係数は \(-2b\) 。文字 \(a\) が2回掛けられているから次数は2」

オメガ「正解〜」

シグマ「単項式 \(-2a^2b\) を \(b\) について見たときは、係数が \(-2a^2\) で次数は1」

オメガ「またまた正解〜」

シグマ「なるほど。理解できたと思う。でも、どうしてこんな考え方をするんだろう」

オメガ「いい質問だね。数式の処理をする際、複数の文字を同時に考えることは難しい。だから、一つの文字にだけ着目して考えることが多いんだ」

シグマ「一つの文字にだけ着目……」

オメガ「今の段階ではイメージが出来ないかもしれないけど、これから高校数学を学ぶにあたって、この考え方は何度も出てくるよ」

多項式

オメガ「次は多項式について掘り下げていこう」

  • (多項式の)次数
    各項の次数のうち最大のもの。次数が n の整式を n 次式という。
  • 定数項
    数だけからなる項のこと。

オメガ「多項式 \(x^3+ax^2+bx+c-1\) を \(x\) について考えよう」

シグマ「 \(x\) について着目してる……」

オメガ「そうだね。この多項式は何次式か分かる?」

シグマがノートに書いていく。

\(x^3\):\(x\) について次数は3
\(ax^2\):\(x\) について次数は2
\(bx\):\(x\) について次数は1
\(c\):\(x\) について次数は0
\(-1\):\(x\) について次数は0

シグマ「最大の次数は3。だから3次式!」

オメガ「素晴らしい。では定数項は?」

シグマ「数だけからなる項だから -1 !」

オメガ「違う。甘いよ」

シグマ「えええ」

シグマは少し考えた後に、言った。

シグマ「\(x\) について着目してるから、\(c\) も定数項なのか」

オメガ「そうだね。定数項は \(c-1\) だよ」

シグマ「なるほどなあ」

多項式 \(x^3+ax^2+bx+c-1\) は \(x\) について 3次式で、定数項は\(c-1\)

オメガ「では第2問」

シグマ「どんとこい」

オメガ「多項式 \(3x^2-2x^3+xy+2x^3-4y+2x+4\) を \(x\) について見たとき、次数と定数項は?」

シグマ「なんかさっきより複雑だなあ……。次数は3で、定数項は\(-4y+4\) ?」

オメガ「定数項は合ってるけど、次数は違うよ」

シグマ「えええ」

オメガ「よく見て。\(x^3\) の項は整理すると消えるでしょ」

\(3x^2-2x^3+xy+2x^3-4y+2x+4\)
\(=3x^2+xy-4y+2x+4\)

オメガ「だから次数は2が正解」

シグマ「騙したなあ」

オメガ「こんな綺麗に騙されるなんて」

シグマ「ぐぬぬぬぬ」

オメガ「どうして間違えたのだろう?」

シグマ「式がごちゃごちゃしていて見づらかったからかな」

オメガ「そうかもしれないね。式は整理することが大切だよ」

  • 同類項
    文字の部分が同じ項のこと。同類項はまとめる。
  • 降べきの順
    多項式の各項を次数の高い順に並べること。
  • 昇べきの順
    多項式の各項を次数の低い順に並べること。

オメガ「\(x\) の多項式 \(-3x^2+x^3+2x+3-2x^3-4+3x^2+2x\) を同類項をまとめて、降べきの順に整理してみようか」

シグマ「うん!」

\(-3x^2+x^3+2x+3-2x^3-4+3x^2+2x\)
\(=-x^3+4x-1\)

オメガ「正解ー。昇べきの順に整理すると?」

シグマ「\(-1+4x-x^3\) 」

オメガ「これも正解〜♪ 最後に先ほどの多項式をもう一度見ておこうね」

\(3x^2-2x^3+xy+2x^3-4y+2x+4\)
\(=3x^2+xy-4y+2x+4\)
\(=3x^2+(y+2)x+(-4y+4)\)

シグマ「\(xy\) と \(2x\) は \(x\) について見たとき、1次どうしで同類項だからまとめられるってことか……」

オメガ「そういうことだね。こうすることで\(x\) の式として、見やすくなるでしょう?」

シグマ「確かにね」

オメガ「さて。キリが良いし、今日はここまでにしよう」

シグマ「まだあまり数学って感じがしないなあ」

オメガ「そうかもね。続きはまた次回〜」

シグマ「では、またね」

最後に

今回は以下のことを学びました。

  • 単項式、多項式、整式とは何か
  • 特定の文字に着目する
  • 単項式の係数と次数
  • 多項式の次数と定数項
  • 同類項にまとめる
  • 降べきの順、昇べきの順に整理する

自分でも説明できるか、具体例を出せるかなど、取り組んでみてください。

では、次回もまた会えると嬉しいです!

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