数検1級2次の対策方法【完全版】

はじめに

こんにちは、Yukkinと申します。本記事では、数検1級2次の対策方法を詳しく説明していきます。

数検1級は合格率約1割の数学の最難関資格です。しかし、しっかりと対策を積むことで、合格率をぐんと上げることが可能です。どのように対策すればよいかを一緒に見ていきましょう。

なお、1級1次の対策方法の記事はこちらになります。1次の記事をまだ見ていない方は、ぜひこちらもご確認ください!

本記事は、数学・情報・論理パズルを楽しむ Techmath Project Advent Calendar 2024 の6日目の記事でもあります。アドベントカレンダーの応援や購読をしていただけると嬉しいです。

数検1級について

まずは、数検1級の概要を簡単に説明します。

数検1級は【大学程度・一般レベル】の試験です。微分積分、線形代数、確率統計などの大学数学が範囲に含まれます。

準1級などと同様に、1次試験と2次試験があり、その両方に合格する必要があります。

数検1級 2次(数理技能)の特徴
  • 120分の試験時間です
  • 問題1〜5は選択問題(2問選択)、問題6〜7は必須問題です
  • 4点満点で合格点は2.5点です
  • 1次試験と異なり、記述試験です
  • 数学的思考力が問われる試験です

公式ホームページの 検定過去問題 を見ると、試験のイメージをつかめるでしょう。

問題ごとの出題傾向と対策方法

各問題ごとに出題傾向と対策方法を見ていきましょう。

必須問題

問題6〜7は必須問題です。

2次試験では必須問題の正答率を上げることが何より大切です。

必須問題で満点の2点を取ることができれば、あとは問題1〜5の中から0.5点取るだけで合格です。一方、必須問題が0点ならばその時点で不合格が確定します。

幸い、必須問題は選択問題より解きやすい問題が出る傾向にあります。必須問題でなるべく高得点を取れるように、微分積分と線形代数を徹底的に学習しましょう。

問題6 線形代数

1次試験同様、『合格ナビ 線形代数』で知識量的には十分かと思います。

1次試験でよく問われる範囲に加えて、2次試験では線型写像や対角化に関する問題もよく出題されます。

  • 線型写像
    線型写像の表現行列、像と核など
  • 対角化
    一般的な対角化、実対称行列の直交行列による対角化、エルミート行列のユニタリー行列による対角化など

上記に限らずどんな問題が来ても戦えるように、合格ナビや過去問をしっかり取り組んでおきましょう!

問題7 微分積分

問題7も『合格ナビ 解析・確率統計』で十分と言いたいところですが、偏微分や重積分については追加でもう少し学習した方がよいでしょう。

合格ナビには、例えばラグランジュの未定乗数法が載っていません。また、積分を使って立体の体積や曲面積を求める問題はもう少し練習した方が良いように思います。このように不足していると感じる点のみ、別教材で補えばよいでしょう。

  • 微分積分
    微分積分を活用して、図形を計量する問題が多いです(立体の体積や表面積、平面図形の面積、曲線の弧長など)
  • 微分方程式
    微分方程式は手法的には『合格ナビ 解析・確率統計』で十分だと思いますが、より計算が複雑な問題や、自分で微分方程式を作るところからの問題も出題されます。合格ナビで基本解法をしっかり押さえたら、過去問で実践力を付けていきましょう。

上記に限らずどんな問題が来ても戦えるように、合格ナビや過去問をしっかり取り組んでおきましょう!

選択問題

問題1〜5は選択問題(2問選択)です。

解く優先度としては、問題4 > 問題5 > 問題1〜3 だと考えています。優先度の高い順に見ていきましょう。

問題4 確率統計(選択問題)

問題4では、高確率で確率統計の問題が出題されます。

確率統計は選択問題の中で最も狙い目です。他の選択問題と比べると出題パターンが限られていて、対策しやすいからです。過去問を見る限り、大半の問題で検定が出題されています。

この問題で確実に1点を取れるように、次の検定をできるようにしましょう。

代表的な検定
  • 母平均の検定(★★★)
    定番です。過去問でも見かけました。
  • 母比率の検定(★★★)
    定番です。過去問でも見かけました。
  • 母分散の検定(★★)
    過去問で見かけなかったですが、定番だと思います。
  • 母相関係数の検定(★★)
    過去問で見かけ、私が受験した本番でも出題されました。
  • 二項検定(★★)
    過去問で見かけなかったですが、定番だと思います。
  • 適合度の検定(★★)
    過去問で見かけました。
  • 独立性の検定(★)
    過去問で見かけなかったですが、出題されてもおかしくなさそう?
  • 2標本t検定(★)
    対応のあるデータ版と対応のないデータ版の2種類あります
    過去問で見かけなかったですが、出題されてもおかしくなさそう?
  • 母比率の差の検定(★)
    過去問で見かけなかったですが、出題されてもおかしくなさそう?

これらの検定がすべて出来れば、おそらく大丈夫でしょう。検定統計量がうろ覚えにならないように要注意です。

また、検定以外で押さえておきたいのは回帰分析です。

検定や回帰分析について学ぶには次の教材をオススメします。

この教材は本当に分かりやすく、教育的な本です。

ただし網羅性はないため、足りない知識は 統計学の時間 というWebサイトなどで埋めるとよいでしょう。

問題5 思考力問題(選択問題)

問題5では、思考力を試す問題や新傾向な問題が出題されます。事前対策は難しいものの、案外、その場で考えて解ける問題が出ることもあります。試験本番では、問題5が取り組めそうな問題かどうか、序盤に確認することをおすすめします。

問題1〜3 (選択問題)

問題1〜3では、それぞれ代数、解析、幾何要素のある問題が出題される傾向にあります。出題パターンが広く問題も難しいことから、問題5と同様、対策しづらいです。過去問を解くなどして地力を付けていくしかないですね。

  1. 必須問題で高得点が取れるように徹底的に対策しよう!
  2. 選択問題は、問題4の確率統計が狙い目。ぜひ対策しよう!
  3. 選択問題のもう一問は、問題5が解けそうなら問題5を、難しそうなら問題1〜3のうちいずれか1問を選ぶのがおすすめ

私は上記を基本戦略としましたが、人により強みなども異なります。上記を絶対的な戦略とは考えずに、「自分にとって2.5点取れるための最善の方法は何か」をぜひ考えてみてください。

終わりに

2次試験は1次試験以上に、学習の戦略が大切だと考えています。

あとは正直、当日の問題との相性もあるかもしれません……。しかし、そんなことを言っていては元も子もないので、少しでも合格率を上げられるように努力を続けましょう。

この文章を読んでいるあなたが合格できるよう、応援しています!

なにか相談事などあれば、X(Yukkin)お問い合わせ より、お気軽にご連絡ください。

では、またね。

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