創作パズル 嘘つきは誰?

はじめに

現実世界において、嘘つきは悪い人なので嫌われがちです。
論理パズルの世界においても、嘘つきは問題をややこしくするので嫌われがちです。

そんな”嘘つき”は論理パズルの世界では一体どんな人のことを指すのでしょうか?
あなたにとっての嘘つきがどんな人なのかイメージしてから、問題を解いてみてください。

考えてみよう

問題

正しいことを常に言う正直者と,正しくないことを常に言う偽正直者と,正直者が言わないことを常に言う逆正直者と,正直者ではない非正直者の4人がいます。
その4人が次の発言をしているとき、それぞれが何者か答えてください。

アキラ「私は正直者ではない」
カオル「サツキは偽正直者ではない」
サツキ「タクミは逆正直者ではない」
タクミ「カオルは非正直者ではない」

また、あなたは誰が嘘つきだと思いますか?

一見、正直者以外はみんな同じ嘘つきにも見えますが、何か違いがあるのでしょうか?

少し下にスクロールすると解答があります。














解答

アキラ…逆正直者
カオル…非正直者
サツキ…正直者
タクミ…偽正直者

また、私は偽正直者こそが嘘つきだと思っています。

解説

アキラが偽正直者だとすると、アキラの発言が正しくなり、偽正直者が正しいことを言っていることになってしまいます。
よって、アキラは偽正直者ではありません。

カオルが偽正直者だとすると、サツキは偽正直者ではなくなり、カオルの発言が正しくなり、偽正直者が正しいことを言っていることになってしまいます。
よって、カオルは偽正直者ではありません。

サツキが偽正直者だとすると、サツキの発言は正しくないのでタクミは逆正直者となります。
アキラかカオルのどちらかが正直者でなければいけません。
しかし、アキラが正直者だとすると、アキラの発言が正しくなくなり、正直者が正しくないことを言っていることになってしまいます。
そして、カオルが正直者だとすると、タクミの発言が正しくなり、正直者が言えることを逆正直者が言っていることになってしまいます。
よって、サツキは偽正直者ではありません。

よって、タクミが偽正直者でなければいけません。
タクミの発言は正しくないのでカオルは非正直者となります。

アキラが正直者だとすると、アキラの発言が正しくなくなり、正直者が正しくないことを言っていることになってしまいます。
ゆえに、アキラは正直者ではなく逆正直者となり、サツキが正直者となります。

アキラの発言は正直者が言えないので、逆正直者はそれを言うことができます。
カオルの発言は正しいですが、正しくないことも言うかもしれないだけの非正直者はそれを言うことができます。
サツキの発言は正しく、正直者はそれを言うことができます。
タクミの発言は正しくなく、偽正直者はそれを言うことができます。
よって、アキラが逆正直者,カオルが非正直者,サツキが正直者,タクミが偽正直者なら条件をすべて満たします。

背景

論理パズルにおいて、正直者は真である命題のみを話す人として定義されるのが自然ですが、嘘つきの定義は人によって異なるときがあります。
それは、現実世界の嘘つきの印象が影響しているのかもしれません。

  1. 偽正直者は、偽である命題のみを話す者です。
    そのため、言える命題の範囲が正直者と重なってしまいます。
  2. 逆正直者は、言える命題と言えない命題が正直者と逆になっている者です。
    そのため、場合によっては真である命題を話してしまいます。
  3. 非正直者は、真である命題を常に話すとは限らない者です。
    そのため、どんな命題も話してしまいます。
それぞれの性格の人間が言える命題の範囲

その違いを感じてもらうために、逆正直者が偽正直者の言えない「私は正直者ではない」を言っていて,非正直者も偽正直者の言えない正しいことを言っている状況が解答になるように、きれいな条件文でできているパズルを作ってみました。

最後に

嘘とは、話す人でもなく,話された文章でもなく,話された内容が”本当と異なる”であるべきだと私は考えているので、偽正直者を嘘つきと呼びたいと思っています。
異論は大歓迎です!

嘘つき予備軍の新メンバーも大歓迎です。

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