創作パズル 何もないクロスワード

はじめに

クロスワードというパズルはご存知でしょうか?
タテとヨコのカギを元に、マスに文字を当てはめていくパズルです。

パズルは解くのも楽しいですが、作るのも楽しいものです。
この記事では、クロスワードについてそのどちらも楽しめる一石二鳥なパズルを紹介しようと思います。

参考リンク Wikipedia クロスワードパズル

考えてみよう

問題

次のタテ3×ヨコ4のクロスワードパズルを解いてください。
白マスには0~9の数字が1つずつ入り、2桁以上の数をワードとみなします。
タテの①,ヨコの①,タテの③,ヨコの③のワードは素数で、他のワードは平方数です。
普通のクロスワードパズルは盤面とタテやヨコのカギを見せますが、省略します。

盤面もカギもわからない……
どんなクロスワードなのか全く情報がないのでは?

少し下にスクロールすると解答があります。














解答

解説

タテ3×ヨコ4の12マスに下図のように名前をつけておきます。

クロスワードには、作成時のルールというものが存在します。
「盤面の四隅に黒マスがない」というルールが広く採用されているので、解説の簡略化のためにこのルールを仮定して進めます。
盤面の四隅に黒マスがあるかもしれないとしていても、マス1が白マスであることが示せるので解くことができます。

マス1は四隅なので白マスであり、孤立していないので、カギ番号①はマス1に書かれています。
タテの①があるので、マス5は白マスです。
ヨコの①があるので、マス2は白マスです。

タテの③があるので、カギ番号③はマス5,マス6,マス9,マス10,マス11,マス12にはありません。
ヨコの③があるので、カギ番号③はマス2,マス3,マス4,マス6,マス8,マス12にはありません。
よって、カギ番号③はマス7に書かれていて、マス3とマス6は黒マスです。
白マスは10個あるので、他のマスはすべて白マスです。

タテの①,ヨコの①,タテの③,ヨコの③が素数なので、マス2,マス8,マス9,マス11に1,3,7,9が入ります。

タテの②は平方数であり、十の位はマス8に入る1,3,7,9のいずれかです。
それらを満たすのは196,576,676のいずれかですが、1がマス4に使えないことと,同じ数字が使えないことから、タテの②は576になります。
よって、マス4に5,マス8に7,マス12に6が入ります。

ヨコの④は平方数であり、一の位はマス12に入る6であり、十の位はマス11に入る1,3,9のいずれかであり、千の位はマス9に入る1,3,9のいずれかです。
ヨコの④はそれらを満たす9216になります。
よって、マス9に9,マス10に2,マス11に1が入ります。

よって、マス2には3が入ります。

ヨコの①やヨコの③の最上位になるマス1とマス7には0が入らないので、マス5に0が入ります。

タテの③,ヨコの③が素数であり、それらの一の位であるマス8に7,マス11に1が入っているので、マス7には4が入ります。

よって、マス1には8が入ります。

また、このように埋めたクロスワードは条件をすべて満たします。

背景

クロスワードパズルというものは、情報が過剰に与えられているパズルといえます。

まず、カギによるヒントが過剰です。
白マスに入る文字は、タテヨコ両方のカギでヒントが出されていることがあります。
そこで今回のパズルでは、情報が被らないどころか、素数か平方数であるという情報以外の具体的なヒントをすべて教えないことにしました。

また、白マス,黒マス,カギの番号の配置が書かれたクロスワードの盤面もカギ一覧と情報が被っています。
どんなカギがあるかの情報があると、マスの白黒をある程度知ることができるからです。
タテ3×ヨコ4のクロスワードは、タテヨコの①と③のカギの存在だけで、マスの白黒やカギの番号の配置を確定させることができるので、今回は盤面も教えないことにしました。

ここまで具体的な情報を削っても、クロスワードパズルは完成させることができるのです。

カギの中身を全く提示しなくても成立するように、2ケタ以上の数をワードの代わりとしたので、あまりクロス”ワード”っぽくなかったかもしれません。
0~9の数字を当てはめていく様子は、クロスワードというよりは小町算や魔方陣に似ています。

最後に

「何もないパズル」の中ではめずらしい、別解がないことを使わないパズルでした。

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