創作パズル プレゼント交換パズル

はじめに

てくますプロジェクトのChihiroです!
この記事では、オリジナルの論理パズルを紹介します。

本記事は、数学・情報・論理パズルを楽しむ Techmath Project Advent Calendar 2024 の17日目の記事でもあります。
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前回のパズル「アドベントカレンダーパズル(後編)」の解答を公開しました!
まだ解いていない人はぜひ挑戦してみてください!

みなさんはクリスマスパーティーでプレゼント交換会をしたことはありますか?
誰のどんなプレゼントがもらえるのか,自分のプレゼントは誰が受け取るのか、ドキドキワクワクしますよね。
今回は、そんなプレゼント交換会を題材にした「登場人物の推理を推理する」パズルを用意しましたので、登場人物の気持ちになって解いてみてください!

考えてみよう

問題

アキラ,カオル,サツキ,タクミ,ナギサの5人は、クリスマスパーティーでプレゼント交換会をしました。
交換に出すプレゼントは秘密にしていて、もらったプレゼントを開封して見せ合ったところ完全に同じものはなかったので、自分のプレゼントが誰のもとに行ったかだけがわかる状況でした。
5人は十分に賢く、前提の情報とそれまでの発言だけをもとに推理して、次の順に話しました。

アキラ「私はマグカップをプレゼントに出した」
カオル「ナギサはアキラのプレゼントをもらっていないとわかった」
サツキ「プレゼントが自分のもとに返ってきた人はいないとわかった」
タクミ「私は誰のプレゼントをもらったかわからない」

(((アキラのプレゼントをもらった人)のプレゼントをもらった人)のプレゼントをもらった人)のプレゼントがハンカチだったとき、5人はそれぞれ誰のプレゼントをもらったでしょうか?

「登場人物の推理を推理する」とは、どういうことをすればいいのでしょうか。
アキラの発言は推理しなくても言える発言ですから、カオルの発言を見てみましょう。
本来なら、ナギサがもらったプレゼントが誰のものかなんてわかりません。
しかし、カオルが直面している状況それまでに聞いた情報によっては、ナギサのもらったプレゼントがアキラのものではないことがわかることがあります。
カオルは、前提情報から自分のプレゼントが何で誰が受け取ったかと,アキラのプレゼントがマグカップであることを知っているからです。
例えば、ナギサがカオルのプレゼントを受け取っていたなら、ナギサのもらったプレゼントがアキラのものではないことがわかりますし、ナギサがマグカップ以外のものを受け取っていたなら、アキラの発言からナギサのもらったプレゼントがアキラのものではないことがわかります。
カオルの発言からそのどちらかだったということがわかり、これが「カオルの推理を推理する」です。

サツキはカオルの推理も使って推理しますし、タクミはそのサツキの推理も使って推理して話しています。
では、解いてみましょう!














解答

アキラ…タクミからハンカチ
カオル…サツキから(例えば赤の)マグカップ
サツキ…ナギサからマグカップではない何か
タクミ…アキラから(例えば青の)マグカップ
ナギサ…カオルから(例えば緑の)マグカップ

解説

まずは、カオルの推理を推理していきましょう。

ナギサがマグカップ以外をもらっていると仮定してみましょう。
すると、カオルは他がどんな状況でも、アキラの発言「アキラはマグカップをあげた」からカオルの推理「ナギサはアキラからもらっていない」を言うことができるようになります。
しかし、そうなるとサツキ目線で、アキラの発言からアキラのプレゼント先が確定したとしても、アキラ,アキラのプレゼント先,サツキ,サツキのプレゼント先の4人以外の1人に自分のプレゼントが返ってきてしまっている可能性があるので、サツキの推理「プレゼントが返ってきた人がいない」を言うことができなくなります。
よって、ナギサはマグカップをもらっていなければなりません。

では、なぜカオルは推理「ナギサはアキラからもらっていない」を言うことができたのでしょうか。
それは、ナギサがもらったプレゼントがカオルからのマグカップだったからです。
この場合のみカオルはその推理ができ、ここまでの情報はサツキ以降にも伝わっています。

次に、サツキの推理を推理してみましょう。

カオルとナギサは自分のプレゼントが返ってきていないわけですから、サツキは残りの3人もそうであると確認できたということになります。
サツキのプレゼントが都合のいい場所であれば、サツキとサツキのプレゼント先の2人も自分のプレゼントが返ってきていないとわかりますし、マグカップが届いている位置が都合のいい場所であれば、アキラの発言からアキラも自分のプレゼントが返ってきていないとわかります。
このように、サツキが推理を言える状況を調べると、次の4パターンに分けることができます。
これらの場合のみサツキは推理ができ、ここまでの情報はタクミにも伝わっています。

①サツキがアキラにプレゼントしていて、カオルとサツキがマグカップ以外をもらっている。(アキラはタクミにプレゼントしていることになる)
②サツキがカオルにプレゼントしていて、アキラとサツキがマグカップ以外をもらっている。(アキラはタクミにプレゼントしていることになる)
③サツキがタクミにプレゼントしていて、アキラがマグカップ以外をもらっている。(そして、アキラがカオルにプレゼントしている)
④サツキがタクミにプレゼントしていて、アキラがマグカップ以外をもらっている。(そして、アキラがサツキにプレゼントしている)

では、タクミの推理を推理しましょう。

サツキまでの情報でだいぶん可能性が絞られてきたわけですが、タクミはタクミから見える情報を使ってもタクミの推理「誰のプレゼントをもらったかわからない」になってしまったそうです。
タクミがわからないためにはどのような状況でなければならなかったかを考えます。

アキラがマグカップをもらっていると仮定してみましょう。
すると、タクミはパターン①だとわかってしまい、アキラからプレゼントをもらったとわかってしまいます。
よって、アキラはマグカップ以外をもらっていなければなりません。

サツキがマグカップをもらっていると仮定してみましょう。
すると、タクミはパターン③か④だとわかってしまい、サツキからプレゼントをもらったとわかってしまいます。
よって、サツキはマグカップ以外をもらっていなければなりません。

タクミがマグカップ以外をもらっていると仮定してみましょう。
すると、タクミはパターン③か④だとわかってしまい、サツキからプレゼントをもらったとわかってしまいます。
よって、タクミはマグカップをもらっていなければなりません。

カオルがマグカップ以外をもらっていると仮定してみましょう。
すると、サツキがマグカップ以外をもらっているので、タクミはパターン①か②だとわかってしまい、アキラからプレゼントをもらったとわかってしまいます。
よって、カオルはマグカップをもらっていなければなりません。

パターン②か③で、5人がもらったプレゼントの種類が上のようであれば、タクミはアキラとサツキのどちらのプレゼントもらったかわからない状況になります。

最後に、「(((アキラのプレゼントをもらった人)のプレゼントをもらった人)のプレゼントをもらった人)のプレゼントがハンカチである」を使って答えを絞りましょう。

5人がもらったプレゼントがマグカップかどうかがはっきりして、パターンは②か③に絞られました。
各パターンにおいても、残っているタクミとナギサのプレゼント先の決め方は2通りしかありませんから、パターンは全部で4通りだとわかります。

そのうち、「(((アキラのプレゼントをもらった人)のプレゼントをもらった人)のプレゼントをもらった人)のプレゼントがハンカチである」をみたすのは、アキラがタクミからハンカチ,カオルがサツキから(例えば赤の)マグカップ,サツキがナギサからマグカップではない何か,タクミがアキラから(例えば青の)マグカップ,ナギサがカオルから(例えば緑の)マグカップをもらった場合のみです。

最後に

アキラの何気ない一言から、プレゼントがマグカップであるかどうかがずっと重要なパズルになっていました。
プレゼント交換会というより、マグカップ交換会になっていましたね。