目次
はじめに
こんにちは、Yukkinと申します。本記事では、数検1級1次の対策方法を詳しく説明していきます。
数検1級は合格率約1割の数学の最難関資格です。しかし、しっかりと対策を積むことで、合格率をぐんと上げることが可能です。どのように対策すればよいかを一緒に見ていきましょう。
数検1級について
まずは、数検1級の概要を簡単に説明します。
数検1級は【大学程度・一般レベル】の試験です。微分積分、線形代数、確率統計などの大学数学が範囲に含まれます。
準1級などと同様に、1次試験と2次試験があり、その両方に合格する必要があります。
- 60分の試験時間で問題数は7問です
- 7点満点で合格点は5点です
- 答えのみ解答する形式のため、部分点はありません
- 問題を解く速度と正確性の両方が要求される試験です
- 出題される問題にはある程度パターンがあります
公式ホームページの 検定過去問題 を見ると、試験のイメージをつかめるでしょう。
おすすめの教材
ここからは「これに取り組めば間違いなし!」 なおすすめ教材を紹介していきます。
合格ナビ!シリーズ
1級の内容に沿った問題集です。なんとこの2冊で1級の範囲の大半がカバーされています! 単元ごとに整理されていて、問題をたくさん解くことができます。難しすぎると感じる問題が少ないのもよいところです。1級1次と書いていますが、2次にも十分役立ちます。1級合格のためのバイブルと言ってよいでしょう。
「完全解説問題集」発見
1級の過去問集です。1次2次の過去問がそれぞれ7回分掲載されています。合格ナビで基礎力を身につけた後の過去問演習に使用しましょう。7回の過去問を通じて、様々な問題を解くことができます。合格したいならこの本も買いです。
手を動かして学ぶシリーズ
『合格ナビ!シリーズ』はとても良いですが、あくまで問題集です。『合格ナビ!シリーズ』から始めるのが難しい方は、先に微分積分や線形代数の入門書を読むとよいでしょう。『手を動かして学ぶシリーズ』は、初学者や独学者でも読みやすいように工夫がされているのでおすすめです。
微分積分や線形代数の入門書は他にもたくさんあるので、自分に合ったものを探してみるのもよいでしょう。
ヨビノリたくみさんの動画
https://yobinori.jp/video.html
微分方程式のシリーズはぜひ見ましょう。『合格ナビ!』の微分方程式の章を進めやすくなります。また、複素解析学の①②もオススメです。
分野ごとの出題傾向と対策方法
出題分野は、微分積分、線形代数、確率統計、その他の4種類に分けられます。各分野の出題傾向と対策方法を見ていきましょう。
微分積分
対策:『合格ナビ 解析・確率統計』→過去問演習
解析分野は1次で2問程度出題されます。また、2次でも必須問題として出題されるため、最重要分野です。時間をかけてしっかり対策しましょう。
- 極限
極限の計算、級数の計算、級数の収束半径などの問題がよく出ます。高校数学(数3)の内容に加えて、ロピタルの定理、マクローリン展開の利用、ダランベールの公式などを押さえておきましょう。 - 微分
導関数や微分係数の計算、マクローリン展開、多変数関数の極値あたりの問題が出る印象です。計算が面倒な問題もしばしば出ます。 - 積分
積分順序の交換や、変数変換(特に極座標への変換)で解ける重積分の問題がよく出ます。
重積分か微分方程式のどちらかが1次の問題7で出題され、出題されなかった方が2次の問題7で出題されることが多いです。 - 微分方程式
典型的な微分方程式を解く問題がよく出ます。問題が与えられた際にどのパターンかを見極められるようになるまで練習しましょう。合格ナビと並行して、ヨビノリたくみさんの微分方程式の動画を見るのもオススメです!
重積分か微分方程式のどちらかが1次の問題7で出題され、出題されなかった方が2次の問題7で出題されることが多いです。
線形代数
対策:『合格ナビ 線形代数』→過去問演習
線形代数は1次で2問程度出題されます。また、2次でも必須問題として出題されるため、最重要分野です。時間をかけて対策しましょう。
- ベクトル
ベクトルの内積・外積や、空間における直線や平面の方程式に関する問題がよく出ます。 - 行列
行列式、rank、固有値などの計算問題がよく出ます。2次でも問われることがあるので、徹底的に対策しましょう。行列式は工夫して計算する問題が出ることも多いです。
確率統計
対策:『合格ナビ 解析・確率統計』→過去問演習
確率統計は1次で1問程度出題されます。また、2次でも選択問題としてほぼ出題されるため、微分積分や線形代数に次ぐ重要分野です。
1次では、確率分布の期待値と分散や、有名な確率分布を押さえておけば、大体何とかなるでしょう。
2次では仮説検定の問題が出題されることが多いです。2次の問題は『合格ナビ 解析・確率統計』だけでは厳しいので、確率統計の入門書を一冊読むなど、腰を据えた学習が必要となります。そのあたりについては2次の記事で説明します。
その他
その他分野から2問程度出題されます。
- 整数問題
合同式や不定方程式に関する問題が多い印象です。『合格ナビ 線形代数』→過去問演習で対策しましょう。 - 複素数
高校範囲の複素数の知識に加えて、三角関数、指数関数、対数関数などの複素関数の定義を押さえていれば、大体何とかなる印象です。ヨビノリたくみさんの複素解析の動画①②が分かりやすいです! あとは過去問演習で対策しましょう。 - その他のその他
因数分解、累乗根の計算、解と係数の関係、逆三角関数、双曲線関数など、様々な問題が出ます。高校数学の範囲の問題であることも多いです。過去問などで出会った問題を、しっかり解けるようになっておく程度でよいでしょう。
1次試験の出題パターンにはある程度の型があり、過去問の類似問題が多く出題されます。それらをしっかり解けるようになることで合格率を上げていきましょう!
過去問の取り組み方
数検準1級までは1次試験は比較的易しいですが、1級では1次試験も難易度が高く、時間内に確実に5問正解することは容易ではありません。
60分の時間を測って、過去問を本番形式で解く経験を積みましょう。
数検公式ホームページから1回分、『発見』から7回分、『合格ナビ 解析・確率統計』と『合格ナビ 線形代数』からそれぞれ1回分で、計10回分の過去問演習を行うことができます。ぜひ、すべて解きましょう!
どの程度の速度や正確性が必要かは、本番形式で解いてみることで分かるでしょう。
また、試験本番では様々な判断を行う必要があります。「どの問題から解くか」や「残り時間で、さらに問題を解くか、見直しに専念するか」などですね。たくさん練習し、より良い判断を行えるようになりましょう。
見直しについて
過去問演習を通して、見直しの精度も上げておきたいです。
- 問題で聞かれていることと答えが対応しているか確認する(ケアレスミス防止)
- 解いた際とは別の方法で検算する(例:微分方程式なら解が正しいか確認する)
- 別の方法での検算が難しい場合は、最初の途中式を見ずにもう一度解いてみる(ただし、残り時間との兼ね合い)
過去問を本番形式で何度か解くことで、1次試験に対する感覚を磨き、本番で慌てないようにしましょう。
終わりに
数検1級は難しい試験ですが、しっかり対策をし、戦略を練れば、合格できる試験です。
ぜひ合格を目指して、頑張っていきましょう!
なにか相談事などあれば、X(Yukkin) か お問い合わせ より、お気軽にご連絡ください。
では、またね。