創作パズル パラドックスなくじ引き

はじめに

10本のうち1本がアタリであるくじ引きを考えましょう。
アタリを引く確率は\(\frac{1}{10}\)ですね。

1本目を引くとハズレでした、残念!
このとき、引くたびにくじを戻す場合は、状況が変わらないのでアタリを引く確率は2本目も\(\frac{1}{10}\)と変わりません
くじを戻さない場合は、ハズレの数が減るので2本目がアタリである確率は\(\frac{1}{9}\)に変わります

全体が10本ではなく何本でも,アタリが1本ではなく何本でも、同じようなことが言えるはずです。
では、次のパズルのような状況は本当に起きるでしょうか?

考えてみよう

問題

6本以上の決まった本数のくじの中にアタリが何本か入っているくじ引きを考えます。
アタリは事前にこっそり振られた6面サイコロの出目の数だけ入れられます。
1本引いてハズレだったときにくじを戻さず引いた2本目がアタリである確率は、ハズレの数だけが減っているにも関わらず、1本目にアタリを引く確率と変わらないそうです。
この不思議なくじ引きが全部で何本からなるか答えてください。

ハズレの数だけが減っているにも関わらず、アタリの確率が変わらない……?
全体の本数を計算する以前に、そもそも矛盾しているのでは?

真相は、解いてみればわかりますよ!

少し下にスクロールすると解答があります。














解答

21本

解説

くじが全部で\(n\)本だとします。

1本目にアタリを引く確率は、次のように計算されます。
$$\frac{1}{6}\times\frac{1}{n}+\frac{1}{6}\times\frac{2}{n}+\frac{1}{6}\times\frac{3}{n}+\frac{1}{6}\times\frac{4}{n}+\frac{1}{6}\times\frac{5}{n}+\frac{1}{6}\times\frac{6}{n}=\frac{7}{2n}$$

1本目にハズレを引く確率は、次のように計算されます。
$$1-\frac{7}{2n}=\frac{2n-7}{2n}$$

1本目にハズレを引いて2本目にアタリを引く確率は、次のように計算されます。
\begin{eqnarray}
\frac{1}{6}\times\frac{n-1}{n}\times\frac{1}{n-1}+\frac{1}{6}\times\frac{n-2}{n}\times\frac{2}{n-1}+\frac{1}{6}\times\frac{n-3}{n}\times\frac{3}{n-1}+\frac{1}{6}\times\frac{n-4}{n}\\
\times\frac{4}{n-1}+\frac{1}{6}\times\frac{n-5}{n}\times\frac{5}{n-1}+\frac{1}{6}\times\frac{n-6}{n}\times\frac{6}{n-1}=\frac{7(3n-13)}{6n(n-1)}
\end{eqnarray}

1本目にハズレを引いた条件のもと2本目にアタリを引く確率は、次のように計算されます。
$$\frac{7(3n-13)}{6n(n-1)}\div\frac{2n-7}{2n}=\frac{7(3n-13)}{3(n-1)(2n-7)}$$

よって、1本目にアタリを引く確率と1本目にハズレを引いた条件のもと2本目にアタリを引く確率が等しくなるのは、
$$\frac{7}{2n}=\frac{7(3n-13)}{3(n-1)(2n-7)}$$
を満たすときであり、\(n=21\)となります。

背景

問題を解くとわかるように、ハズレが減ってもアタリの確率が変わらないような状況がありました。
この謎は、1本目のハズレが2本目に与える影響をすべて考えると解決します。

確かに、1本目にハズレを引いたときはハズレが1本減るので、その条件は続けて引く2本目がアタリである確率を上げる要因になります。
しかし、1本目にハズレを引いたという条件は、2本目がアタリである確率を下げる要因も持っているのです。

このくじ引きはアタリの数がわかりませんでした。
アタリがたくさん入っているくじ引きならアタリを引きやすかったはずですし、アタリが少ししか入っていないくじ引きならアタリを引きにくかったはずです。
1本目に引いたくじがハズレだったということは、それが偶然ではあったかも知れませんが、アタリを引きにくいくじ引きだったという可能性を高くします。
これが、アタリが少なそうであるという情報に繋がり、続けて引く2本目がアタリである確率を下げる要因になります。

この問題では、1本目がハズレだったという条件が持つ2本目のアタリ確率を増加させる力と減少させる力がちょうど打ち消し合うような全体の本数を求めています。
奇跡的なことに、そのような本数は自然数で存在し、このパラドックスのようなパズルになりました。

最後に

確率的にはこの通りなのですが、このくじ引きをどう感じるか心理学的にも実験してみたいものです。

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