創作パズル 推理ポーカー

はじめに

ポーカーを題材にした少し難しいパズルを紹介します!

ポーカーについて詳しく知らない人でも大丈夫。
使う知識はポーカーに出てくる10種類の役の作り方だけですし、本当に難しいのはそんな部分ではないからです……

参考リンク Wikipedia ポーカー・ハンドの一覧

考えてみよう

問題

アキラ,カオル,サツキ,タクミは52枚のトランプでポーカーを連戦しています。

ある試合でカードが配られると、
アキラが手札を交換せず「今回のカオルの役は前回と違うとわかった」と言い、
カオルが手札を交換せず「今回のアキラの役は前回と違うとわかった」と言い、
サツキが手札を2枚交換して「今回のタクミの役は前回と違うとわかった」と言い、
タクミが手札を交換せず「今回のサツキの役は前回と同じだとわかった」と言いました。

サツキが捨てた2枚は同じスートで、その数字も見ればこのやりとりから前回の4人の役がすべてわかるらしいです。
前回の4人の役はそれぞれ何でしょうか?

補足

スートとは、スペードやダイヤのようなマークのことです。
10からAのストレートフラッシュであるロイヤルフラッシュ,他のどの役にもなっていないハイカードも役とみなします。
A,2,3,4,5と10,J,Q,K,Aはストレートですが、Q,K,A,2,3などはストレートではありません。
交換で捨てた手札は他のプレイヤーにも公開されます。

少し下にスクロールすると解答があります。














解答

アキラ…ストレート
カオル…ロイヤルフラッシュ
サツキ…スリーカード
タクミ…ストレートフラッシュ

解説

4人は自分の手札やそれまでの他人の発言から推理して発言しています。
特に、他人の役を1種類に絞るタクミの推理は非常に困難であることに注意しましょう。

アキラは手札5枚を見て、カオルの役が前回と違うことを推理しました。
ある5枚が欠けることで作れなくなる役はロイヤルフラッシュだけです。
よって、前回のカオルの役はロイヤルフラッシュであり、アキラは各スートで10からAのどれかを1枚ずつ持っていることがわかります。

アキラの手札の例 あと1枚は何でもよい。

カオルは手札5枚を見て、アキラの役が前回と違うことを推理しました。
カオルがどんな手札を持っていたとしてもアキラの役がハイカード,ワンペア,ツーペア,スリーカード,フルハウスになっている可能性がある(詳細は手作業で確認できます)ので、前回のアキラの役がこれらだった場合はカオルの推理を実現できません。

カオルは手札5枚を見なくても、アキラの役がフラッシュ,ストレートフラッシュ,ロイヤルフラッシュではないことはわかります。
しかし、前回のアキラの役がこれらだった場合はカオルの推理から得られる情報がなく、タクミの困難な推理を実現できません。(詳細は手作業で確認できます)

後ろに多くの情報が残る状況は次の2種類です。
(1)前回のアキラの役がフォーカードでカオルが10からAを1枚ずつ持っている場合、カオルはアキラの役がフォーカードではないと推理できます。

ケース(1)のカオルの手札の例

(2)前回のアキラの役がストレートでカオルが10からKのどれかを4枚とも持っている場合、カオルはアキラの役がストレートではないと推理できます。

ケース(2)のカオルの手札の例 あと1枚は何でもよい。

サツキは交換を含めた手札7枚を見て、タクミの役が前回と違うことを推理しました。
サツキがどんな手札を持っていたとしてもタクミの役がハイカード,ワンペア,ツーペア,スリーカード,フラッシュ,フルハウス,フォーカードになっている可能性がある(詳細は手作業で確認できます)ので、前回のタクミの役がこれらだった場合はサツキの推理を実現できません。

サツキは手札7枚を見なくても、タクミの役がロイヤルフラッシュではないことはわかります。
しかし、前回のタクミの役がこれだった場合はサツキの推理から得られる情報がなく、タクミの困難な推理を実現できません。(詳細は手作業で確認できます)

タクミに多くの情報が残る状況は次の3種類です。
(ⅰ)前回のタクミの役がストレートかストレートフラッシュで,(1)のケースで,サツキが5を4枚と10を3枚見ている場合、サツキはタクミの役がストレートやストレートフラッシュではないと推理できます。

ケース(ⅰ)のサツキの手札の例 カオルが残りの10を持っていることがサツキにはわかる。

(ⅱ)前回のタクミの役がストレートかストレートフラッシュで,(2)のケースで,サツキが5を4枚とJ,Q,Kを1枚ずつ見ている場合、サツキはタクミの役がストレートやストレートフラッシュではないと推理できます。

ケース(ⅱ)のサツキの手札の例 カオルがすべての10を持っていることがサツキにはわかる。

(ⅲ)前回のタクミの役がストレートフラッシュで,(2)のケースで,サツキがあるスートの6,J,Q,Kとそのスート以外の5を3枚見ている場合、サツキはタクミの役がストレートフラッシュではないと推理できます。

ケース(ⅲ)のサツキの手札の例 カオルがすべての10を,この例ならアキラがクラブのAを持っていることがサツキにはわかる。

サツキが捨てたカードの数字を見れば、私たちにも4人の前回の役がわかるそうです。
前回のタクミの役がストレートだった場合、私たちには前回のタクミの役がストレートフラッシュだった可能性が残ってしまいます。
よって、前回のタクミの役がストレートフラッシュだとわかるような状況でなければなりません。

サツキが捨てた2枚に6が含まれている場合に限り、私たちは(ⅲ)のケースだとわかります。
また、この状況はサツキの役が前回と同じだとタクミが推理するのに十分です。
サツキが捨てた2枚は同じスートなので、サツキの今回の役はスリーカードだとわかり、前回のサツキの役もスリーカードだとわかり、問題のすべての条件を満たします。

背景

論理パズルでは、解答が満たさなければならない条件がいくつか与えられます。
そのすべてを満たすような状況を見つけることが、そのパズルを解くということです。

例えば、「カオルがスペードの10を持っている」という条件は、問題を解く私たちに手掛かりを与えてくれます。
しかし、この条件からはカオルに関する直接的な情報しか得られません。

ここで、「カオルがスペードの10を持っている」という情報がサツキから出てきたならどうでしょうか?
適切な設定のもとなら、「カオルがスペードの10を持っているとサツキにわかる状況だ」というサツキに関する間接的な情報も得ることができます。

今回は、間接的な情報の力だけで解かなければならないような、直接的な情報は具体性のない「役が前と違うかどうか」だけしか与えられない論理パズルを作りました。
ポーカーという具体的な題材で,具体的ではない問題文から,具体的な解答が得られる、そんなパズルになっています。

最後に

まだ物足りない?
安心してください、もっと難しいパズルも出題していきますよ!

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