創作パズル 何もないマッチ棒パズル

はじめに

マッチ棒を使った計算パズルを紹介しようと思います。
数字はデジタル時計などで使われる7セグメント表示を使います。

与えられた正しくない式のマッチ棒を指定された本数だけ動かすことで正しい式にするパズルです。
例えば、マッチ棒で作られた下図の左の式8+9=1は正しくないですが、マッチ棒を3本動かすと正しい右の式6-3=3にできます。

枠に収まらないですが、3本動かせば10-3=7や3-3=1-1という正しい式にもできます。

それでは問題に挑戦しましょう!

考えてみよう

問題

マッチ棒でできた正しくない式からマッチ棒を動かしてできる正しい式を答えてください。
ただし、数字1つ,+か-,数字1つ,等号,数字1つの順に並べたものだけを式と呼ぶことにします。
普通のマッチ棒パズルは何本動かすか指定しますが、このパズルでは指定はないです。
普通のマッチ棒パズルのように、別解はないです。
普通のマッチ棒パズルは正しくない式をマッチ棒で作って見せますが、手元にマッチ棒がないので作りません。

動かせる本数もわからない,もとの式もわからない……
どんなマッチ棒パズルなのか全く情報がないのでは?

いいえ、このマッチ棒パズルは”別解がないこと”がわかっているマッチ棒パズルです。

少し下にスクロールすると解答があります。














解答

2-1=1

解説

解答の正しい式が足し算を使った○+△=□の形の場合を考えます。
○と△が異なる数字だとすると、マッチ棒の動かし方によっては△+○=□という別の正しい式にもできてしまいます。
よって、○と△は同じ数字でなければなりません。

解答の正しい式が引き算を使った□-○=△の形の場合を考えます。
○と△が異なる数字だとすると、マッチ棒の動かし方によっては□-△=○という別の正しい式にもできてしまいます。
よって、○と△は同じ数字でなければなりません。

よって、解答の正しい式は、0+0=0,1+1=2,2+2=4,3+3=6,4+4=8,0-0=0,2-1=1,4-2=2,6-3=3,8-4=4の10種類のどれかでなければなりません。
それぞれ、22本,13本,18本,20本,19本,21本,12本,17本,19本,18本のマッチ棒でできています。

13本でできる1-1=0,17本でできる4-4=0,20本でできる2+0=2,21本でできる6-6=0,22本でできる6+0=6という正しい式があるので、解答の正しい式は2-1=1でなければなりません。

マッチ棒12本でできる正しい式がいくつあるか考えてみましょう。
数字以外で3本か4本のマッチ棒を使うので、数字に使えるマッチ棒は9本か8本となります。
3つの数字はそれぞれ2本以上のマッチ棒を使うので、式に0,6,8,9は使えません。

1だけでは正しい式を作れません。
式に3や5を使うと、残りの数字2つが1だけになるので正しい式を作れません。
式に4や7を使うと、残りの数字2つが1や7(7を3本で表す場合)だけになるので正しい式を作れません。
式に2を使うと、残りの数字2つが1だけになり、作れる正しい式は2-1=1だけになります。

マッチ棒12本でできる正しい式は2-1=1だけでした。
マッチ棒12本でできる3-1=1という正しくない式があるので、2-1=1は解答になるといえます。

背景

マッチ棒パズルは、枠組みを決めてしまえば考える対象となる式は無限ではありません。
扱う対象すべてを考えることは、1つの具体的なマッチ棒パズルを解くときにはおおげさですが、今回のような問題を解くときや例題のように3本もマッチ棒を動かすような問題を”作る”ときには有効です。

今回は、12本という最小本数で表示できる正しい式が1通りで解答になりました。
解答を見つけるのは難しくなかったという人もいると思います。
もし、中途半端な本数で表示できる正しい式が1通りになっていたら、このパズルはもっと難しくなっていたかもしれません。

「動かす本数を指定せず別解のないマッチ棒パズルで正しくない式を教えなかった」というのが今回の問題ですが、「別解のないマッチ棒パズルで動かす本数と正しくない式を教えなかった」という問題は全く別のものになります。
どちらも動かす本数がわからない状態で解き始めることになる点は同じで印象も似ていますが、後者には「正しくない式1+1=3から1本動かして1+1=2を作るパズルだった」などの別解がたくさんあります。

パズルを考えることを考えるのがメタパズルです。
問題の表現を少し変えると入れ子構造が変わって、問題自体が変わってしまうことが多々あるので注意しましょう。

最後に

マッチを使う機会が減ってきたので、マッチ棒なしでマッチ棒パズルを解く機会は増えそうですね。
別の意味で、そんな時代を先取りした問題でした。

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